アティトラン湖の畔で

いくつかの村を巡り、今この美しい湖の畔に来ています。ここは鮮やかなブルーの織物を紡ぐ小さな村です。
私はあなた達の村の中でもとりわけこの村が好きです。ここにいると何故か心が落ち着くのは、
澄明な湖の対岸に聳える美しい火山が私達の国の富士山によく似ているからかも知れません。
私達の国も緑豊かな島国で、美しい織物や素晴らしい文化があります。しかしあらゆる物が急速に変化しています。
都市は人と車の洪水です。田舎の村々も急速に都会化しています。
私達の国程ではありませんが、あなたの国にも同じ様な変化が感じられます。
でもそれは仕方のない事かも知れません。
文化は生活と共に生きているもの、変わってゆくのは当然の事なのだと思います。
たとえ美しい織物が消え生活が変わってもそれはそれで良いと思います。
大切なのは文化が生み出した物ではなく文化を生みだした心なのですから。
かつてマヤ文明を生み現在に伝わる素晴らしい文化の心をいつまでも大切にして下さい。
どんなに素晴らしい物も身近にあると意外に見えないものですから。
もしかしたら私はあなたの国に来て、遠く離れた私達の国の事を考えているのかも知れません。