音楽のこだます谷

標高四千メートル近くの峠を越え、崖から転げ落ちそうな山道をのろのろと下り続けると
やがて向こうから大きな薪を背負った少年が登って来るのに出会いました。
どうやら村が近いようです。少し見晴らしが良い所で車を止めてみることにしました。
険しい山々に囲まれた谷間には小さな家々が点在し、かまどからたち昇る煙で村全体が少し霞んで見えます。
ふと耳をすますと何処からともなく軽やかな音色が聞こえてきます。
民族楽器が奏でる優しく暖かな調べが谷間にこだましています。
険しい道の運転で張りつめていた緊張が、優しい音色にゆっくりと溶けてゆきます。
その村トドス・サントスは、音楽のこだます谷間にひっそりとうずくまっていました。

 

wind

 
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