ブルガリアの中央部バルカン山脈の裾野に｢バラの谷｣と呼ばれる場所があります。周囲を高い山々に囲まれた谷間の村々には見渡す限り のバラ園が広がっています。この辺りで育てられたバラはことのほか香りが優れ、その花びらからつくられるバラの香油は｢ブルガリアの金｣と呼ばれるほどか ぐわしいものです。この一帯では、毎年バラの花の摘み取りが行なわれる5月末から6月初旬にかけて、収穫を祝う｢バラの谷の祭｣が催されます。村の人々は 昔ながらの華やかな民族衣装をまとい、バラの花の摘み取りの儀式をとり行います。摘み取られたバラは花籠に入れられ、人々は馬車に乗って村の中心にある広 場へと向かうのです。広場では、ブルガリアの周辺の国々から参加したバルカンの子供たちが、それぞれの民族衣装で馬車を出迎えます。大勢の人が待ちうける 中、摘み取られたバラの花を振りまきながら馬車は広場へと入場していきます。こうして数日間続く祭りのフィナーレは、バルカンの子供たちの踊りと共にクライマックスを迎え、やがてすべての人々を飲みこんでいつ果てるともなく続きました。