アオザイ新聞 第13回
妖しいホテル

 

ギシギシと鳴る古い木の階段を上った二階に、その部屋はありました。ホイアンで是非泊まってみたかったヴィン・フンと言うホテルには、二部屋しかないスペシャルルームがあります。街全体が世界遺産に指定されているホイアンの中心部にあるこのホテルは、百数十年前の民家を改装した雰囲気満点のホテルです。中でもこのスペシャルルームには何と表現したら良いかわからない、ちょっと妖しげな不思議な雰囲気が漂っています。天蓋付きのベッドとその脇に置かれた螺鈿細工を施した鏡台が、小さな窓から射し込む僅かばかりの明かりにぼんやりと浮かび上がっています。昼間なのに良く見えない位薄暗くて、何かの映画で見た阿片窟のイメージがだぶって見えます。ホイアンはその昔香料の交易で栄えた港町で、16~7世紀には1000人以上の日本人が住んでいました。その後華僑の人が移り住んだ為街の雰囲気は中華風ですが市内には日本橋という橋も残っていてどことなく懐かしい感じがしました。ホイアン名物の[カオ・ラウ]という太い麺も、日本のうどんがルーツだと言われています。それにしても今から四~五百年も前にエンジンもない木製の船で、こんな遠くまで来ていたんですね。

 
     
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