アオザイ新聞 第18回
強行突破!

 

改札が始まりました。知り合いのイギリス人をはじめ外人観光客も次々に乗り込んで行きます。僕はと言えば、ヴィクトリア・イクスプレス専用受け付けに行けば良い事になっていたので、切符を持っていません。いつまで経ってもそれらしき係員も現れず、やがて待合室には僕一人取り残されてしまいました。改札係に尋ねても、全く埒があきません。ついに改札係も居なくなり、出発時刻が迫ってきました。このままでは乗り遅れてしまうので、僕は意を決して改札口を強行突破(と言っても誰もいない)して、ホームへ向かいました。ハノイ駅のホームは屋根も無く照明もまばらで、薄暗くて案内板すらありません。目を凝らして捜してもヴィクトリア・イクスプレスらしき列車は見当たりません。仕方なく僕は停車中の列車を片っ端から当たってみる事にしました。「ありました、ありました!」。僕は[ヴィクトリア・イクスプレス]なんて立派な名前が付いているので[オリエント急行]みたいな列車をイメージしていたのですが、なんと普通の列車の後ろに2両だけ専用車両を連結した代物だったんです。ようやく係員を見付けて全てが分かったのですが、僕が待っていたのはハノイ駅の裏口だったんです。僕が泊まっていたホテルからは正面口の方が近いのに、なんでわざわざ裏口に連れて行ったんだろう、あの運転手?!

 
  ハノイ旧市街  
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