音楽のこだます谷で 第2回
トドス・サントス

  道路はまっすぐ村の中心に向かって延びています。道の両側には僅かながらお店もありますが人影もまばらで、あっという間に村の中心の広場に着いてしまいました。グァテマラの街は基本的に皆同じ配置になっていて、街の中心には必ず教会がありその前に大きな広場があります。マヤの人々にとって大事な商業活動である市は,週に1回か2回決まった曜日にこの広場でひらかれます。ここトドス・サントスでは毎週土曜日に市がひらかれます。今は閑散とした広場では民族衣装を着た子供たちがバスケットボールで遊んでいます。グァテマラは中米なので普通子供たちはサッカーをしているのですが、何故かこの村ではバスケで遊んでいます。マヤの人々が身に着ける美しい民族衣装は,村によってそれぞれ異なった色や模様をしています。ここトドス・サントスでは女性はピンクを基調とした織物で,男性はシャツの襟の部分に女性と同じようなピンクの織物をあしらったオシャレなストライプの長袖シャツを着ています。最近は伝統的なマヤの村でも,男性が民族衣装を身に着けるのは少なくなってきました。しかし、ここトドス・サントスでは大半の男性が今もこの民族衣装を身につけています。僕は車を広場に止めて少し村を歩いてみることにしました。村は今来た道の両側に広がっていて、その道沿いと広場の周りにお店が点在しています。お店は雑貨屋,八百屋、糸屋(マヤの人々は自分の服を自分で織るので糸は生活必需品なのです)、道具屋、食堂、などで、それ以外の物はだいたい市で買うようです。脇道を少し入った所にあるお店の前を通りかかると、鮮やかなグリーンにペイントされたドアーのまえで可愛い男の子(7~8才位)が人なつっこく僕に微笑みかけています。どうやら、コメドール(大衆食堂)の看板息子?のようです。少年の微笑みにつられて、お店に入ってみることにしました。外の陽射しが強烈なせいか、お店の中はかなり暗く感じられますが見渡したところテーブルが4~5つ並んでいて結構小綺麗です。角のテーブルでは地元の男の人が2人、食事をしていました。メニューはチキンの煮込みにライスを添えたようなもので、トルティーヤと一緒に食べています。マヤの人々の主食のトルティーヤは、トウモロコシを粉にして薄くのばしパンのように焼いたものでタコスの皮と大体同じです。人が食べているのを見ると、何か食べたくなってきました。ただ、肉類やなま物は衛生上の理由でちょっと恐いので、パンとコーヒーを頼むことにしました。コーヒーは何と言っても本場グァテマラコーヒーですから、まずい訳はありません。食事のついでにお店の人に、何処か泊まれるところはないか尋ねるとすぐ5~6件先に民宿のようなものがあるとのことで、さっそく行ってみることにしました。あいにく2つあるしっかりした部屋は、西洋人のバックパッカーで埋まっていましたが掘っ立小屋なら空いているとのことで、金曜の夜の予約を入れておくことにしました。ちなみにこの掘っ立小屋の宿泊料金は1泊・3ケツアル(約60円)で、僕が泊まった宿の中でダントツの最低料金でした。しかも1泊60円の宿を予約する人なんてめったにいませんよね。一通り村を見て回り金曜に又戻って来ることにしました。もちろんお目当ては土曜に開かれる市です。

 

 
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