ペンギン新聞 第5回
出航


 

ベッドサイドの電話が突然鳴り響きました。「おはようございます。2時45分です。」、「?」、そういえば、添乗員がモーニングコール頼んでおきますって言ってたっけ。それにしても、朝6時半の飛行機に乗るのに2時45分はいくらなんでも早いんじゃない。日本を出発してから50時間振りにベッドで寝たと言うのに,たった2時間半しか寝られなかった。
今日はいよいよ南極に向かって旅立つ日。まずブエノスアイレスから国内線の飛行機で世界最南端の街ウシュワイアー迄、約3時間半のフライト。ここはワールド・エンドと呼ばれ文字通り地の果ての街。よく「地の果てまで一緒に」とか言うけど新婚旅行でここまで来ちゃった人どうするんだろう、これから、、、??<地の果て>と言うわりには、明るい感じの街でこれなら網走のほうがよっぽど寂れていて最果てのイメージ。やはりここは南米なのでしょうか。アルゼンチンそのものが、思っていたより哀愁が漂ってなかったし、日本から遠いだけで勝手につくったイメージなのかも、、。確かにアルゼンチンから見れば日本は最果ての<FAR EAST>,丸い地球に果てなどあるわけはなく、この概念は天動説時代の遺物かも。とは言うものの、ここまで来るとさすがに風は刺すように冷たく、南の果てまで来たなという感じ。それもそのはず、この海の向こう1000キロの彼方はもう南極。今夕ここから船に乗り込み、いよいよ待ちに待った南極クルーズが始まります。
埠頭には赤と白に船体を塗りわけられた耐氷船ディスコ号が夕日を浴びて僕たちの乗船を待っていました。デンマーク船籍のこの船は排水量約2000トンとかなり小さめ。竹芝桟橋から大島あたりへ行くやつの方がよっぽど大きく、夏にビール飲み放題になる東京湾の納涼船位しかない感じ。定員は92名、クルー30名の耐氷客船、耐氷と言うのは砕氷ではなくあくまで小さな流氷にぶつかっても大丈夫?と言った程度。船室は全て2名用で、一番安い二段ベッドの上段窓無しで\475000からスイートルームの\995000までの6種類。僕の部屋は下から二番目に安い¥495000の窓無しソファー付きの上段。ちなみに一番安いカテゴリーCの部屋と二番目のBとの価格差は二万円で、二段ベッドの上段と下段の差が三万円。一人部屋追加料金はなんと最低でも¥245000。行く先が行く先だけに、大半の人は友達に断られてやむなく一人で参加。かといって¥245000は高すぎるというわけで、皆相部屋の修学旅行状態。僕の部屋は船底の地下2階で、ベッドの広さはJRの寝台車よりはやや広い位。シャワーとトイレは全ての部屋に備え付けられていて、ビジネスホテルのユニットバス位の大きさ。一応ソファー付きとなっているが、結局邪魔なだけで一度も使わなかった。一番高い一人¥995000の部屋は、十畳位のリビングに八畳位のベッドルームが付いていて勿論見晴らし抜群の操舵室の真下。この部屋に比べたら僕の部屋はまるで奴隷部屋?それにしても百万払うのなら奴隷でもいいから二回行きたい!

 
       
     
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