ペンギン新聞 第8回
マッちゃん死す


 

部屋の扉を開けると、いきなり飛び込んできたこの悪臭。中を覗き込むとシャワールームの扉の向こうで、同室のマッちゃんが青い顔をして便器をかかえて座り込んでいます。「すみませ〜ん。気持ち悪くて、。」大きな身体を折り曲げて、相当まいってる様子。僕と同室のマッちゃんは岐阜の中学校の用務員で、40代半ばのオッサン。プロ野球の選手のような大きな身体をしていて、容貌は海岸でトウモロトシを焼くと良く似合うコワモテ系。<人は見かけによらない>というのはこの人の為にあるような言葉で、酒もタバコも女も?やらず趣味はたった一つ、旅行!それも半端じゃない。「去年は北極に行ったで、あとは南極しか残っとらんでネ〜」と独特の方言で話すマッちゃん、上から見ても下から見ても横から見ても、何処から見ても海外旅行が趣味には絶対見えない!船酔いに強いか弱いかは全く外見とは関係ないとは言うものの、この顔でこの身体でうなだれるマッちゃんはやはりかなり情けないし、だいいち似合わない。
とにかくこの悪臭を嗅いでいたらさすがの僕も気持ち悪くなりそうなので、部屋で寝るのは諦めて再び上階へ。ラウンジでは丁度南極に関するレクチャーなるものが始まるところでした。これは南極へ着くまでのヒマツブシ企画で、内容はナイヨウでアルヨウデ、、、。たとえば、南極で見られるペンギンやクジラのスライドを見ながらその生態などについてだったり、南極探検の歴史だったり、地球の温暖化と南極の氷の関係だったり、それなりに興味深いのですがなにしろ船が揺れすぎて、、、。スライドを見ている前を、座ったまま人が滑って行く、、、。10数人の参加者の中でも半分位の人は、真横になって殆ど仮死状態。
この日は結局丸一日揺れ続け、昼食も夕食も床の上の難民生活。少しづつ人数が増えてきたものの、なんとか部屋を這い出してきた人は全体の2・3割程度。残りの7・8割の人達はひたすらベッドの上で気持ち悪さと格闘しながら、二度と南極には来ない決心を固めていたようです。ちなみにこの日の旅行日程表のスケジュールの覧には、「船内で自由にお過ごし下さい」と書いてあった!これって殆どジョーク!!

 
       
     
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