ペンギン新聞 第13回
ペンギン撮影会


 

丘の上から見下ろすと、あたり一面の雪はピンク色に染まっています。これはペンギン達のオシッコの為で、夏も終わりの今頃はまだ新雪があまり降らない為かなり濃いピンク色になっているようです。このピンク色のゾーンはかなり広く、ざっと見渡したところ数百メートルにわたって広がっています。きのう訪れたペンギン団地より更に大きな団地のようです。僕の目の前を今年生まれたペンギンのヒナがヨチヨチ歩いています。部分的にウブ毛が残っているのですが、たとえば頭のてっぺんだけ残っていたりしてかなりファニー。身体の大きさは成鳥にかなり近いのですが、黒い部分の色が少し明る目でまだ親鳥と一緒に行動しています。人が増える前にヒキの写真を撮りたいので、モデルになりそうな美人のペンギンを素早く見つけて仕事にとりかかることにしました。入り江の向こうに絵になる山々が連なる背景を選び、美人ペンギンにワイド・レンズで迫ります。篠山紀信先生真っ青の激写、ペンギン撮影会の始まりです。ワイド・レンズでかなり間近まで近寄ってバシャバシャとシャッターを切るのですが、ペンギンもまんざらでもない様子で時折羽根をパタパタとやってモデル気分。一見動作は緩慢そうなのですが、後で仕上がった写真を見てみると1コマづつ違ったポーズをしていて、3種類位しかポーズのとれない駆け出しのモデルよりよっぽど使える!! 
一通り撮り終わった頃にはだいぶ人も増えてきたので、場所を替えてアップの撮影に入ることにしました。反対側の岩山の上の方にまだウブ毛のままのヒナとその親鳥がいたので、早速アプローチ開始。いくら人見知りしないペンギンでも、襲われやすいヒナと親鳥の組み合わせは別。動物写真を撮る時の鉄則は相手に警戒心を抱かせないことで、相手と同じ高さになるようにまずしゃがみます。(人間の子供のときも同じです。)カメラを構えて、まず素早く1枚切り様子を見ます。まず1枚切るのは臆病な動物はすぐ逃げてしまうこともかなりあるからで、とにかくアッという間に切ります。相手があまり警戒していない様なら、ファインダーをのぞきシャッターに指をかけながら少しずつ近付き又1枚切ります。どこまで近づいたら逃げ出すかわからないので、少し近づいては又1枚という感じで段々近づいてゆきます。どんな動物でも、これ以上近づくと逃げ出すという距離がありますが、これは同じ動物でもその棲息環境によってもかなり違いがあります。たとえば、渋谷の駅前で知らない奴が近寄ってくれば大抵ろくでもない用事なので逃げ出すけど、田舎で通り掛かりに声をかけられても誰も逃げないようなもの。その動物が襲われやすい棲息環境ならば、かなり遠くでも警戒して逃げるはずです。僕はヒナペンギンを驚かせないよう、1歩づつゆっくりと近づいて行きました。5メートル、4メートル、3メートル、、、、。

 
       
     
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