らくだ新聞 第12回
ラビハウズのチャイハナ


 

前回お話しした太陽と鳳凰の絵の描かれているメドレセの前にはラビハウズという人工の池があり、それを囲むようにチャイハナがお店を出しています。夕方になると街の人々がたくさん集まってきて、池の周りで夕涼みをしています。僕も毎晩ここのチャイハナで、食事をするのが日課になりました。ここで何といっても人目を惹くのが、チャイハナ風桟敷です。これは一言でいうと、キングサイズのベッド(それも原色の緑色のペンキが塗ってある)の上に真っ赤な毛氈を敷いてその上にちゃぶ台を乗せたという代物。これは日本の小料理屋で座敷に上がってくつろぐ感じを、そのまま戸外に持ち出したみたいですごく気持ちいいんです。池を渡る涼風に吹かれながら食べる夕食は、最高です。ラビハウズ(池)の向こう側には、地面より低くて埋もれたように見えるマコギ・アッタリ・モスクがあります。マコギは[穴の中]という意味で、文字どおり穴の中にあったモスクです。初めて造られたのは10世紀といわれていますが、壁面が3層に分かれていて破壊と建設が繰り返された事がわかります。2度の破壊はアラブ軍とジンギス・ハーンによるもので、それ以前はバザールだったようです。このモスクのすぐ先に交差点を丸屋根で覆ったタキと呼ばれるバザールがあります。16世紀当時のタキはいわゆる専門店街で、高価な宝石類や珍しい品物の売買が活発に行われ、遠くインド、ロシア、中国等から様々な民族が集まり大変賑わったと言われています。現在は主に観光客目当てのお土産屋が軒を連ねていて、ここを通過する度に呼び込みの声が掛かります。僕はブハラに滞在中一日に何回もここを通ったので、お店の人達とはすっかり顔馴染みになってしまいました。ここのお店では結局粘土細工の恐竜の置物で、角を抜くと短剣になってるやつを1つだけ買い求めました。ウズベキスタンで何故恐竜なのかわからないのですが、とにかくかなりユニークなデザインで思わず買ってしまいました。それ以外に買わなかったのですが気になったのが、鳥の格好をしたハサミでクチバシの部分が刃になってるやつとか、変なハサミをいっぱい売ってるお店がお気に入りでした。このタキを出て少し行った右側にウルグベグ・メドレセがあります。15世紀初頭に建てられたこのメドレセは現存する中央アジア最古の神学校で、サマルカンドのレギスタン広場にあるシェルドル・メドレセはこのメドレセを真似たと言われています。ちなみにウルグベグというのは人の名前で、皇帝ティムールの孫にあたる人物です。このメドレセの向かい側には、17世紀になって建てられたアブドゥールアジス・ハーン・メドレセがあります。このエリアにはとにかく見どころが集中していて、まるでディズニーランドで次のアトラクションに行く位の距離に歴史的な建物がひしめいています。

 
       
     
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