らくだ新聞 第14回
再会の夜


 

その夜は池の畔のチャイハナで、再会したM君と夕食を共にしました。サマルカンドでは、現地の大学の日本語課にボランティアとして一日参加したという話を 聞かせてくれました。サマルカンド大学の日本語課の講師をしている方が、学生達に生きた日本語を使う機会を与えたくて、M君が泊まっていたB&B(ペン ションのようなもの)に貼り紙を出したようです。大学の講師の給料は驚くほど低く、それだけでは全く生活出来ないようです。その日本人の方は何か思うとこ ろがあって、持ち出しで講師をしておられるようです。参加したM君にとっても、普通の旅では出来ない貴重な体験になったと語ってくれました。M君はイスラ ムマニアを自称するだけあって、これまでの旅遍歴もかなりマニアック。オススメの国は?の問いに返ってきた言葉が「イエメン」。実は僕もイエメンはずっと 気になっている国だったので、思わず身を乗り出してしまいました。以前ABC(青山ブックセンター)でイエメンの写真集を見つけて興奮して買い求めて以 来、いつか行くぞ~と心に決めている所だったのです。それ以外にも、今年のお正月休みには西アフリカのマリに、なんと母親を連れて行ってきたとの事。M君 は以前にも母親を連れて南米を放浪した事があるそうで、この親子かなりディープでナローなDNAの家系ですよね。この日がM君にとってはブハラの最終日。 僕たちは夜遅くまで旅の話しで盛り上がり、これからの旅の無事を祈って別れました。(お互い無事ではなかったのですが、、)。翌日からは又一人旅が始まり ました。ブハラの街を歩いていると、路地で子供たちがサッカーで遊んでいるのによく出会います。転がってきたボールを蹴り返したりすると、「ナカ~タ!」 と声がかかります。こちらでもサッカーは人気スポーツで、W杯予選で戦ったりもしているせいか日本の選手の名前も知っているようです。ヒデはどこでも知ら れていますが、一度は「タカハ~ラ!」という声も掛かりました。高原は去年アジア・カップで優勝した時に活躍したからでしょうか。ウズベキスタンの片田舎 で「タカハ~ラ」という声を聞いた時は感無量でした。フランスW杯の予選をウズベキスタンのタシケントで戦っていた頃の事を思うと、今の日本代表の強さは 夢のようです。それにしても、あの時日本代表はこんな遠くで、こんな暑いところで戦っていたんですね。どんなに情報が発達しても、アウェーで戦う事の大変 さは体験しなければわからなのかもしれません。溢れる情報の洪水の中で、溺れそうになっている今の日本の状況を考えると、もっと自分の体験を大切にする事 が必要なのかもしれません。

 
       
     
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