らくだ新聞 第15回
ディラの夢


 

メドレセの内部の撮影が終わって外に出てくると、「写真を撮ってもらえませんか?」と、カワイイ女の子に声を掛けられました。ウズベキスタンでは写真がま だ貴重品で、よく「写真を撮って!」と頼まれます。こういう時は普通1枚しか撮らないのですが、結構可愛い女の子だったのでついつい沢山撮ってしまいまし た。彼女の名前はディラ。大学受験前の17才で、課外授業の一環として近くのミュージアムで働いてるとの事でした。ウズベキスタンでは旧ソ連から独立後英 語教育が盛んになったようで、10代から20代の世代は彼女のように英語がかなり話せます。丁度お昼休みで少し時間があるというので、近くを案内してもら う事にしました。どこの国でも学生と名乗ってガイドをかってでるのは、お金が目当てなのですがディラはちょっと様子が違いました。お金をせびるどころか、 ナンやアイスクリームを買ってくれたりしてものすごく親切なのです。おまけに、どうかすると歩きながら腕をからめてきたりするのです!と言っても、もちろ んあっちの商売の人では全然ないのです。お金をせびられたりするのには馴れているのですが、こんな嬉しい攻撃はさすがの僕も初体験?!頭の中では「これっ て、どういうこと?」と思いつつ、せま~いブハラの街を腕をとられながら歩く事になりました。これは、さすがに目立ったようで、その後同じ場所を一人で歩 いていると「お前のガールフレンドは、カワイイね。」とか「今日は彼女は何処へ行った?」とか、果ては「彼女と結婚するの?」という質問まで飛び出す始 末。ところで、ディラの働いているミュージアムは学校の教室一つ分程度の小さなスペースで、ブハラの街の歴史や工芸品等が展示されています。働いているの は、館長と彼女のほか男の子が一人だけ。結局ブハラ滞在中毎日ここを訪れたのですが、3日間でお客はたった1人だけ。おまけにここは入場無料なのです。ど うやって経済的に成り立っているのかなぁ?館長ともすっかり仲良しになって色々話をしたのですが、なにしろ館長はウズベキ語とロシア語しか話せないので、 難しい質問は無理なのです。僕の観察と推測によれば館長はブハラの商工会議所の所長のような立場のようです。9月頃ブハラの工芸品を売り込みに日本に来る 計画があると話してくれました。館長はアーティストでもあるようで、名産品の絨毯の下絵を描いたりもしていました。たぶん、生計はこちらの方で立てている のでしょう。ディラとは色々な話をしました。そして、ようやく密着攻撃の謎が解けてきました。

 
       
     
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