らくだ新聞 第20回
最後の一日


 

今日はウズベキスタン最後の日。今晩の飛行機で日本に帰ります。最後の一日は、タイムリミットの夜8時まで目一杯タシケントを堪能する事にしました。まず 最初にしたかったのは、ウズベキに着いた日にすっかり気に入ったゴージャス地下鉄のホームの写真を撮る事でした。照明がかなり暗いので、三脚を片手に僕は 地下鉄のホームに向かいました。もう勝手が分かっているので、40スムを払ってプラスティックのコインを買い、改札口の機械にコインを投げ込みます。階段 を降りてホームに出ると、あのゴージャスなホームが僕を待っていました。僕はホームの端から端まで歩いて良いアングルを探し、おもむろに三脚を立ててカメ ラをセットしました。その時です。向こうから制服の警察官が一目散に僕の方に向かって来ます。手を振りながら、写真を撮ってはいけないとジェスチャーで制 止しています。僕はウズベキスタンの事を日本に紹介する為に撮影している旨を一生懸命説明したのですが、全くとりあってもらえませんでした。結局写真は撮 れなかったのですが、どうやら僕はラッキーだったようです。と、いうのは日本に帰ってから分かった事なのですが、M君も同じ事をして警察官に連行されてか なり尋問を受けたらしいです。僕は三脚まで立てた上、散々警察官を説得しようとねばったのに、連行されなかったのですから、、、。僕は気を取り直して、工 芸博物館へ向かいました。ここはウズベキの誇る工芸品の数々を展示している博物館なのですが、博物館の建物そのものが芸術品と言える位見応えがあるもので した。展示品には、絵皿、織物、絨毯等素晴らしい物が沢山ありましたが、美しい貝殻の螺鈿細工を施した楽器がとても気に入りました。次に僕が向かったの が、鉄道技術博物館。[鉄道マニアには垂涎もの]と書かれた地球の歩き方のコピーを見て、子供の頃の血が突然さわぎだしました。小学生の頃一番好きだった のは、秋葉原にある交通博物館。中でもお気に入りは、鉄道模型のレイアウト。精巧に造られたミニチュアの街や森の中を走る模型の機関車をいつも食い入るよ うに見つめていました。あの頃の夢は、自宅の庭にレールを敷いて模型の機関車を走らせる事だったなぁ。もしかしてあの頃の感動がもう一度味わえるかと、期 待に胸を膨らませて出かけたのですが、ガッカリ。タシケント駅の脇の空き地にレールを敷いて、機関車をただ並べただけのお粗末なものでした。僕以外に見物 客はたった2人だけ。お母さんに連れられた男の子が一人、機関車の運転席で目を輝かせていました。僕もあんな子供だったのかなぁ、、。

 
       
     
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